あとがき



愚行の終焉

平成13年に開設した当サイトも、今年(平成20年)で7年になる。今年に入ってプロバイダの関係でサーバーを変えた為、昔このサイトに訪れていた人は「あ、あのサイトなくなっている!」なんて思う人も、ひょっとしたらいるかもしれない。そしてそれらの中には「あの野郎、殺意の階層途中で投げ出しやがった!」なんて思った人も、もしかしたらいるかもしれない。

この殺意の階層の紹介ページは、当サイトの他のコーナーと違い、複数回に分けてUPしている。なまじ小説仕立てにして紹介しようなんて思い立ったが為に、思ったより時間がかかってしまったのだが、その時間というのが何時間、何十時間というレベルでなく、7年かかっている。無論、毎日少しずつ作業しての7年というわけじゃない。さぼりにさぼりまくっての7年である。7年といったら、子供が小学校に入学して卒業し、なおかつ中学2年生になろうかという年数である。この、総データ量500KBにも満たない、ちゃちいページを作り上げるのに7年! 馬鹿かお前はと、罵られる事も幸いにしてなく、まあそもそもウチのサイト見に来る人なんてあんまいないしなーとお気楽極楽で年一更新くらいで続けた結果がこれである。

そもそもこのゲームの紹介を始めたのは「はじめに」にも書いたけど「難しすぎ」だとか「クリア不可能」なんて評価が多くて、いやーいやいやいや、そんなことないよーっていう思いから始めた事であった。その思いは今でも変わらないが、ファミコンでこのゲームが出ていた当時と今では、ゲームのシステムやら何やらががらりと変わってしまっているので、今更そんな主張をしても始まらない。生憎と平成20年(2008年)7月現在、Wiiのバーチャルコンソールのラインナップに殺意の階層はないが、もし今後このゲームがラインナップに加わるような事があれば、是非初プレイの人の感想を聞いてみたい。確かに難しいかもしれないけど、クリア不可能ってレベルじゃないでしょ、これ? って是非聞きたいんだよなぁ。

さて本編の方だけど、今回小説形式で書いていくにあたって、いくつか問題点が。まず登場人物の名前。僕がファミコンソフト「殺意の階層」を買ったのは、既に世の中がスーファミに塗り変わっていた高校生時代の話。学校近くの中古屋で、ファミコンソフトが叩き売りされていた時に買ったのだが、マニュアルは本体付属のものではなく、コピーされていたものだった。ま、プレイに支障はなかったのでコピーでもなんでも良かったのだが、その後友人にソフトを貸した際にそのコピーをなくされてしまい、登場人物の名前の漢字がわからなかったのだった。よって、当サイトでは、ネット上で適当に調べた字で表記してある為、多分そこかしこで人名の漢字が間違っていると思われます。更に言えば文章の方にも、誤字・脱字の類は一杯あるんでしょうが、意味が通じればいいでしょおというアバウトな感覚でやってますので、大目に見て頂ければ幸い。意味が通じない誤字・脱字の類は、ひっそり教えて頂けると助かります。

もひとつ困ったのがゲーム内の設定。会社の中にみんな住んでるっていうやつ(一部例外はいるが)。このゲームの舞台は、主に富野ビル内にあるソフト会社「パワーソフト」が舞台である。社員は、女性社員を除き皆社内に自分の部屋を持っていて、そこで寝起きしている。社内に住んでいるというとちょっと違和感があるが、要は雑居ビルみたいなもんで、住居とオフィスが混在しているのだろう。富野ビルというくらいだから、富野社長がオーナーで、好き勝手に部屋を割り振っていたものと思われる。昔のソフトメーカーは、ああいった感じのところが多かったのだろうか。あるいは今でもあーいうのあるのかしら、なんて少し考えちゃうけど、とにかく狭い世界なのである。仕事のある日はみんな職場にいるし、各人の動向なんて本来筒抜けのはず。しかも事件が発生してから訪れていて、警察だって絡んでるんだから、容疑者達の挙動はかなり細かくわかるはず。なんだけど、ゲーム内では実際樫畠君(プレイヤー)しか動いてない状況で、おいおいそりゃさすがに無茶だろう、と。

で、無茶といえば主人公が探偵というところ。この当時のものとしてはそう珍しくない設定だったかと思うのだが、探偵の仕事というのは本来もっと地味で、警察と組んでの合同捜査なんてのはまずないと思われる。このゲームの樫畠君みたいなケースは、漫画やドラマなんかではおなじみのパターンだが、逆に言えば、現実にはまずないケースといっていいだろう。実際、探偵に単独で捜査させることに無理があるので、強引に警察とくっつけて行動させていると言えなくもないが、このゲームは時間の概念がある上に、その経過がえらい早く、プレイヤーのやり方によっては、最短で6日。最長でも10日くらい(ゲーム内時間)で終わってしまう。しかもゲームの性質上、死ぬ人は必ず死んでしまう(そうしないと話が進まない)為、一週間と経たない内に4人も死者が出てしまうのである。一人目の西河はともかく、あとの3人は警察が介入してからの犠牲者なのだが、おいおい、こりゃいくらなんでも無茶苦茶でしょおおと、書いててつくづく思ったもんでした。

だってあなた、同じ会社どころか同じビル内で寝起きしている連中がですよ? 日を追う毎に次々死んでいくんですよ。それこそ、前の死者の検死も終わらない内に。警察もしっかり介入してるのに。しかもその舞台となった会社ってのが、従業員が1000人2000人とかじゃなくて、せいぜい10人程度の小さな会社なのだ。容疑者がどんどん減っていくんだから、こんなの樫畠君いなくたって警察がすぐに解決するだろさすがに。というちょっとフォローが難しい展開なのである。といって、適当に何週間後とか何ヶ月後とかにすると諸尾ー石橋の話とかおかしくなっちゃうし、こりゃ割り切ってゲーム通りに書くしかないなあという結論に至ったのでした。

………なんて書いてるけど、下手に自分で設定作っても、収束させる能力が自分にあるとは思えないので、そうせざるを得なかったというのが実際のところ。人物の話し方とかはかなり適当に書いてしまったけどね。

ゲーム内のトリックは難しかった。諸尾殺害のトリックで、ヒューズを使って云々ってのがあったが、あんなの実際にそれに似たような事やってみないと、いまいちイメージがわかないし、石橋の車や、あのロープの絵を見て、運転してたのは短足な奴だ! とか、犯人は左利きだ! なんてわかった人いるんかいな? とか、当時から思っていたわけです。ま、この辺は所詮ゲームなので、正しい選択肢を探り当ててしまえば、どうにでもなる分、それほど問題となるような点ではなかったんだろうけど。



しかしこのゲームの素晴らしいところは、時間の概念を取り入れて(当時)これまでのようなコマンド総当たりでなんとかなる展開にしなかったところと、あとやっぱり最後のどんでん返しに尽きる。当時頑張って富野社長を自白させるところまでプレイし、事件解決後、美沙子と結婚(展開次第ではそうなる)したものの、後に何者かに暗殺されるというバッドエンド。他に、パワーソフトの事件を解決した事で商売繁盛となるエンドとか、2~3種類のエンディングがあったんだけど、真のエンディングがあると知った時の驚きと言ったら! 当時プレイしていた時の感覚で言ったら、石橋が怪しいと思って石橋のディレクトリ(古い表現だ)を開いたら、その中に松丘のディレクトリがあった。そこを開けると富野社長のディレクトリがあって、これが最後かと思ったら、実は隠しディレクトリがもう一つあったのである。ゲーム内のキャラクター達は微妙に表情を変えるのだが、この最後の時の美沙子は悪い顔してたなー、ホント。

このゲームには、一説によると続編の予定もあったらしい。出てないのは諸々の事情があったからだろうが、続編ともなるとなまじ前作を上回る事を誰しも期待してしまう為に、結果として発売されなくて良かったのかもしれない。今でも続編の登場を期待しないではないが、上述したWiiのバーチャルコンソール辺りでこのゲームを取り扱ってくれれば、それで十分な気はする。

とまあ、そんなところでだらだら続けた後書きもお終いにしよう。最後に、ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。



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